今回は膝蓋骨脱臼についてお話していこうと思います。
膝蓋骨脱臼とはお皿の骨(膝蓋骨)が脱臼してしまう疾患です。若い女性に多く、スポーツでジャンプの着地時に発生しやすいのが特徴です。
膝蓋骨脱臼を起こす人は生まれつきの素因をもっていることがほとんどです。そのため、一度膝蓋骨脱臼を起こしてしまうと、反復性脱臼(繰り返し脱臼する)になりやすいとされています。
反復性脱臼になると将来的に変形性膝関節症への進行のおそれもあります。
もし、あなたが膝蓋骨脱臼で悩んでいるのであれば、このブログを読んで膝蓋骨脱臼について理解を深めた上で再発を防ぐ対策を学んでください。
膝蓋骨とは?
まずは膝蓋骨について簡単に説明していきます。
膝蓋骨は膝関節の形成に関与し、大腿四頭筋腱の中に発生した※種子骨で、大腿骨遠位端の全面を約7〜8㎝範囲内で上下運動をしています。
(※種子骨とは腱の中に存在して、骨との摩擦を防いでくれるものです。)
膝蓋骨は大腿四頭筋の緊張によって常に大腿骨に押し当てられているため、通常は脱臼することはまれです。
膝蓋骨脱臼の分類
膝蓋骨脱臼の多くはジャンプ、飛び降りなどの際、膝関節に過度な伸展と捻転が加わり発生しますが、解剖学的および骨の形態的関係から外側脱臼が多くみられます。脱臼方向によって以下の4型に分類されています。
引用:順天堂医院HP
1)側方脱臼(a.外側脱臼 b.内側脱臼)
2)垂直脱臼
3)水平脱臼
4)回転脱臼
このうち、ほとんどが外側脱臼であるため、このブログでは主に外側脱臼についてお話を進めていきます。
膝蓋骨脱臼の原因
膝蓋骨脱臼はなんらかの先天性素因や発育上の問題があることがほとんどで、これに膝関節への外転力や下腿への外旋力が加わることが原因で外側脱臼を起こします。正常な膝関節に、純外傷性に発生することはまれです。
では、先天性素因や発育上の問題とはどのようなものがあるのでしょうか?少し専門的な内容もありますが以下のようなものがあります。
✅膝蓋骨のつくりが小さい
✅膝蓋骨の位置が高い
✅大腿骨遠位端部の形態異常
✅外反膝(X脚)
✅大腿骨頸部の過度な前捻
✅内側広筋の弱化(内側広筋と外側広筋のアンバランス)
✅膝蓋骨外側支帯の拘縮・過緊張
ほかにも様々な素因がありますが、共通して言えることは膝蓋骨が外側に移動しやすい作りになっているという事です。
さらに全身の関節弛緩といった要因がある場合に、運動時の外傷が加わり膝蓋骨脱臼が起きるのです。
膝蓋骨脱臼の症状
脱臼と聞くとコキッと関節を整復するイメージがあるかもしれませんが、膝蓋骨脱臼の場合はほとんどが自然整復されるので脱臼自体の固有症状はありません。
しかし、容易に自然整復されるため、そのまま放置すると反復性脱臼や不完全脱臼に移行してしまい変形性膝関節症へのリスクが高まります。
自然に整復された場合では、膝周囲の軟部組織損傷との鑑別が必要になります。膝蓋骨が外側に脱臼しているので、内側を支えている組織を損傷します。膝内側部の圧痛に加え、膝蓋骨の異常な可動性が見られます。
膝蓋骨脱臼の特徴的な症状としては、膝蓋骨を外方に圧迫すると脱臼しそうになり不安感を覚えます。これを“Apprehension sign”(アプレヘンジョンサイン)と呼びます。
一般的な施術
再脱臼の予防が大事
脱臼したあとは2~3週間の固定が行われます。膝蓋骨の脱臼が起こると20-50%の人が再脱臼を起こすと言われています。そのため、固定期間が終わったあとは膝蓋骨の再脱臼を予防することを第一にリハビリや装具の着用が行われます。
リハビリでは主に、膝蓋骨が外側にずれるのを防ぐために内側広筋の強化が行われます。これは筋力トレーニングや電気刺激によって強化する方法です。また、膝蓋骨を外側に引っ張る筋肉や靭帯の柔軟性の向上も同時に行います。
運動を行う場合は再脱臼を防ぐ装具を着用することもあります。
引用:ザムストHP
手術が必要なケースも
上記のような施術を行っても再脱臼を繰り返してしまう場合や、運動時や日常生活動作で強い不快感や不安感が続く場合は手術を勧められることもあります。
引用:順天堂HP
手術の内容としては、膝蓋骨を正しい位置に保持する内側の靭帯の再建が主になります。術後1週間で患側の足に体重をかけての歩行練習がはじまり、2週間程度で退院になります。
新宿足改善センターでの施術
新宿足改善センターでは脱臼してしまった膝蓋骨や膝関節周囲だけでなく、全身を検査した上で必要な施術を行っていきます。それは、膝蓋骨脱臼を起こしてしまう原因は先天的な問題だけではないからです。
どういうことでしょうか?
確かに膝蓋骨脱臼は先天的な素因などに加えて運動時の外傷が重なって起きることがほとんどです。しかし、脱臼しやすい要因があったとしても、膝蓋骨脱臼を起こす人もいれば、脱臼を起こすことなく運動を楽しんでいる人もいます。
なにが違うのでしょうか?
それは先天的な問題に加えて、日常生活での癖、さらには内臓疲労や慢性的な循環不良によって骨盤が歪んでいたり、体全体のバランスが崩れていることがほとんどです。
つまり、膝蓋骨脱臼を起こしてしまう人は先天的な体の問題に加えて、骨盤の歪みや体のバランスが崩れていることによって脱臼を起こしやすい状態を助長させてしまっているのです。その状態を解決して、膝蓋骨脱臼が起きにくい体にするためにも新宿足改善センターでは全身の施術を行っていきます。
たとえば、骨盤が歪んで仙腸関節に負担がかかっているとします。本来なら仙腸関節で分散されている上半身の重みが股関節に伝わり、膝関節にも負担がかかることになります。この負担が内側広筋と外側広筋のアンバランスを生み出すことになるのです。
この状態で、いくら内側広筋の筋力トレーニングを続けても効率が悪いことはなんとなく想像できますよね?
そうです。この場合、確かに内側広筋を鍛えることは大事ですが、膝関節にかかっている負担を減らすことがもっと大事になります。膝関節の負担を減らすには、骨盤の歪みを調整しないといけません。ではこの骨盤の歪みはどこからきているのか・・・とその原因を探して解決していく必要があります。
このように、膝蓋骨脱臼だからと膝のまわりだけでなく、骨盤や体全体をみて問題点を解決していくことが大事になってくるのです。そうすることで、膝蓋骨脱臼による膝関節周囲の痛みも早く軽減させることもできますし、最も重要な膝蓋骨の再脱臼を防ぐことができるのです。
最後に…
膝蓋骨脱臼は誰にでも起こるものではありません。そのため、もしあなたが膝蓋骨脱臼を経験し、「もう好きなスポーツを楽しむことはできないのかな」「また脱臼してしまったらどうしよう」と不安になっても、その気持ちを理解してくれる人は少ないかもしれません。
でも、安心してください。
新宿足改善センターでは、あなたのように膝蓋骨脱臼で悩んでいる人が少しでも早く好きなスポーツを楽しめるように、少しでも早く不安なく生活できるようにしっかりとサポートしていきます。